【不動産】不動産の落とし穴

過去の不動産調査の実例です。

敷地内には築40年くらいの建物が建っております。建物新築時、電車の線路敷地内に配管を埋め、その配管より、生活排水を放流しておりました。

配管の長さは40mくらいです。売主様は借地料として、毎年JRに約5千円の賃料を支払っておりました。


時は流れ、この不動産は相続され、事情をよく知らない相続人の名義に移転されました。

現在では公共下水道が整備され、JR線路内の配管を使わなくても、排水ができるようになっております。


JRへの賃料が勿体ないので、JRに借地契約を解約したい旨の相談をしたところ、条件付きで解約を承諾するとのことでした。

その条件とは、

●埋設されている配管の撤去

●線路敷地内に設置している防草シートの復旧

●JR指定業者による施工

とのことです。


落とし穴というのは、この条件です。


JRの線路内は一般の土地と違います。勝手に立ち入るのは違法です。

鉄道営業法 第37条

停車場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス

この法律は明治33年の法律で、科料80円以下というのはなんともかわいい額です。実際には罰金等臨時措置法により、科料10,000円で運用されています。


しかし本当に恐ろしいのは、工事により電車を遅延させてしまうことや電車を止めてしまうことです。このようなことを引き起こしてしまうと、大きな賠償金を請求されます。


このため、工事にはJR指定業者を使わないといけません。JRから指定業者を2社紹介されました。2社に見積り依頼の連絡をすると、1社は普通の対応でしたが、もう1社はあからさまに面倒臭そうな対応(理由はのちほど判明)でした。この業者からは多忙を理由に、見積りの作成すら拒否されております。


仕方がないので1社のみと現地で打合せをし、後日改めて見積りを出して戴きました。


50万円くらいは覚悟しなければいけないかな、と思いましたが、見積りの金額は、約200万円!実に400年分の賃料に相当します。


面倒臭そうに対応された方は、このことが予想できていたのだなと、後から思いました。


しかし、取引の前に発覚してよかったな、とつくづく思いました。

皆様もJRがらみはお気を付けください。

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